『クルーエルティ』グロい、痛いの恐怖渦巻く和製スプラッターホラー。地獄のような人間の屠殺場で黄色い服の少女がホラゲ初心者のトラウマになる
「夏はやっぱりホラー」みたいな風潮作ったやつにドロップキック
怖いものは怖い。何歳になろうが男であろうが怖いものは怖いしそれでいい。「大人のくせに」とか、「男のくせに」みたいなことをいうやつにはビンタしてやればよろしい。とにかく「ホラー苦手ならそれを避け続けるのも本人の自由だろ!」とそういう風に思っていた。
しかし、そうも言ってられないことが起こる。PC(Steam/Epic Games Store/itch.io)でリリースされた和製スプラッターホラー『クルーエルティ』のレビューを依頼されたのだ。
「スプラッター」ってことは絶対グロい。そのうえホラー? いやいや絶対に無理だ。何としても逃げなければと思った。思ったのだが……
「やります」と思わず返答してしまった。筆者は見栄っ張りだった。ビンタしないといけないのは自分だったかもしれない。誰だよ「夏はホラー」みたいな風潮考えたやつ。「1年中ずっと無理だよ」と悪態をつき、ストアページの怖そうな文言に震えながら、『クルーエルティ』を起動することになった。
これホラー初心者がやっていいゲームなの?
響き渡る男の叫び声を目覚ましに、虫と腐肉の散らばる悪臭が立ち込めていそうな不潔な空間から幕が上がる。目の前のテレビでは拷問され殺される男の映像がループ再生されており、右を見ても左を見ても血と肉の海。はいもう怖い……。なんというか映画『Saw』シリーズを思い出させる雰囲気だ。
しかも死体が痛そうに損壊しているのも精神攻撃してくる。骨や内臓がむき出しの凄惨な死体だらけ。捕まったらこんな目にあうの? といちいち想像させられる。ファーストインプレッションは「これホラー初心者が最初にやるゲームじゃないだろ」だ。
どうやら目的は、この地獄のような“人間の屠殺場”から生きて脱出すること。農夫と呼ばれるバカデカい鉈を持った化け物から逃げながらの探索が主な内容なようだ。
筆者もバカじゃない。そこまで分かればもうお手の物だし、どうやら農夫の足もそこまで速くないようだ。見つかってもワンチャン逃げられる。
「これは楽勝だな」と余裕を持ってプレイする……のが理想だったのだが、道中の死体やテキストなど雰囲気が怖すぎてそれどころではない。隣の部屋が見えないほど暗いのも相まって、探索は終始ビビり散らかしていた。ちゃんとクリアリング(安全確認)しながらマップ移動したの某タクティカルFPS以来だよ。
そうして何とかついた地下室。ここで一番肝を冷やした“やつ”に出会った。
少女である。ふざけんなよ。敵はひとりじゃねえのかよ。「私の戦闘力は○○万です」からの「変身をあと〇回残している」並みの絶望。ここまで来ると逆に笑えてくるレベルである。
というか逆に怒りがわいてきた。調子に乗んなよと、大人をなめるんじゃないよと。そうして挑んだ少女戦。なんと……
即死した。農夫のバカデカ鉈ですら何発かは耐えられるというのに、この子どもときたら火力高すぎである。ムービー入った瞬間に「あっごめっ許してー」と情けない声まで上げてしまった。
しかも、逃げても瞬間移動で先回りするなどやりたい放題。初見時は農夫と違い撒けるかどうかわからなかったので、地下室にいたときはずっと背中がヒリヒリしていたし、子どもの後ろから迫ってくる笑い声が本気のトラウマになりそうだった。遊び半分で包丁を振り回すな。
そんなこんなで、地下室の少女をやり過ごし、農夫を撒いたりしていると慣れてきているのを実感。キーボード、マウスの震えもいつしかマシになっていた。
これを自覚できたのはかなりありがたい。追われても冷静にプレイできるようになったし、探索中にヒントやアイテムを取りこぼすことが少なくなったからだ。それでも見逃すときあるし、焦って行き止まりにツッコんじゃうこともあるけど。
そして心の余裕が少しできてきたところで……
またやつが現れた。勘弁してよ、絶望の演出うますぎるだろ。変身あと何回残してんのよ。結局、農夫はもちろん少女とも何度も追いかけっこすることに。「夏はホラー」ってそういうことか。肝は冷えたし、冷や汗もドバドバ出たよ。
とまぁスプラッターな雰囲気と恐怖体験は存分に味わえる一作となっていた。プレイ時間もノーマルモードなら2時間弱でクリアできるため、この点だけ見ればホラー初心者向きかもしれない。それでもやっぱり怖すぎるかも……。ホラー初心者がプレイする際は自己責任でどうぞ。
- 商品名 クルーエルティ
- 開発 838s Maniacs
- 販売 838s Maniacs
- 配信日 2024年6月17日
- 定価 800円(Steam/Epic Games Store/itch.io)
- 日本語 〇