INDIE GAMES JOURNAL(インディーゲームジャーナル)

【レビュー】ひたすら崖を登る苦行系アクション『A Difficult Game About Climbing』は段階の踏ませ方がクセになる【崖おじ】

by トニオ國崎

登る。登る。登る。何度でも、ただひたすらに……

 頑張って、乗り越えて、と思っていたら1度のミスでほぼ最初から──。

 そういった苦しい高難度ゲームを無性にやりたいときが1年に一度くる、“苦行の季節”と自分は呼んでいる。

 とはいえ、10割地獄ではなく、ほどほどの地獄を味わいたい。そういう気分の時にぴったりだったのが『A Difficult Game About Climbing』だった。

 『A Difficult Game About Climbing』は、通称“壺おじ”で有名な『Getting Over It with Bennett Foddy』に影響を受けた崖登りアクション。半裸のおじさんが己の腕だけで岩山を登っていき、いちばん上のゴールを目指していく。壺おじリスペクト作品なのもあってか、動画配信やゲーム実況では『崖おじ』と呼ばれることもある。

 操作方法は、右手・左手の掴む/離す、上体を起こす、体を傾けるというシンプルなもの。右手で岩を掴み、次は左手を伸ばして上の岩を……と、よじよじ上に進んでいくのだ。(マウスまたはゲームパッドで操作可能)

スタート地点

 「な~んだカンタンじゃん!」というのは最初だけで、手をギリギリまで伸ばさないと届かなかったり、そもそも掴めない場所もあったりと、小さい岩肌やオブジェクトを利用して登らないといけない。ときには岩と岩のあいだを飛んだりなど、試練は多くなっていく。もちろん、そこでミスをしてしまうと真っ逆さま。どこか咄嗟に手が引っかかる場所があればフォローできるのだが……それがなければ下に落ちてゆくだけである。

緑の岩肌はツルツルすべってしまうので掴んで登るのは難しい。この場合は岩を掴んだあとにタイヤに手を伸ばすのが正解。

 遊んでいて好感触だったのは、ある程度進むとチェックポイントのような安全地帯が用意されているところ。うっかり落ちてしまっても、余程の事故さえ起きなければ途中から再スタートできるので、長すぎる戻し作業にウンザリすることは少なかった。その理由は後述のステージ設計にある。

 『A Difficult Game About Climbing』では、数々の難所が各所で用意されており、上に登っていくほどそのギミックは難しい。「あのゾーンをクリアしたんだから、これもできるよな?」と、新たな課題をポンと渡される。

 この試練を乗り越えないと次は難しいぞ!! そう突きつけられているようだった。

 ステージの難度が積み重ねで設計されているので、進行が大きく戻されてしまっても、いままで培ったプレイスキルを駆使すれば最高到達地点へ帰ってきやすい。「こんなの運ゲーだ~!!」と言いたくなる仕掛けはなく、自身の経験と実力がそのままゲーム進行にも表れる。理不尽過ぎず、すこしマイルドに。そこがこの作品のいいところだ。

 ただ、まぐれでクリアできた場所はもちろん簡単にはいかず、安定して超えられるまでかなりの時間がかかったものだ。

 筆者のクリア時間は約14時間ほど。のちに友人たちにもプレイしてもらい、友人Aは4時間、友人Bは8時間でクリアしていた。岩を掴むタイミング、飛ぶ勢いなど、プレイ感覚のコツをいかに早く掴むかが攻略のカギになりそうだ。

 そろそろ高難度ゲーとか苦行系をやりたいなぁと思っている人、『崖おじ』おすすめですよ!

記事でたびたび映っていた“王冠”はなんなのか。実際にプレイして確かめてみよう。

  • 商品名  A Difficult Game About Climbing
  • 開発   Pontypants
  • 販売   Pontypants
  • 配信日  2024年3月7日
  • 定価   1,200円(Steam)
  • 日本語  ×(英語のみ)

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