INDIE GAMES JOURNAL(インディーゲームジャーナル)

スイカライクの落ちものマージパズル『ネールのはちゃめちゃクラフト!』。ランダム要素で一喜一憂させられる悪魔的ギャンブル……! 気が付けばあふれ出る脳汁の虜に

by 友野 辰貴

 『テトリス』『ぷよぷよ』をはじめ、昨今では配信者界隈・SNSなどでバズった『スイカゲーム』が印象的な落ちものパズルというゲームジャンル。シンプルゆえの奥深さ、取っつきやすさが多くの人を魅了し、ライト層からコア層まで人気を集めている。

 2024年8月7日にリリースされたSteam向けソフト『ネールのはちゃめちゃクラフト!』もそのひとつ。はじめてストアページを見たときには「女の子がかわいいなぁ」とのほほんとした気持ちだった。が、まさかこのゲームがギャンブル沼のような一面を持っているとは、このとき思っていなかった……。

ひと味違うスイカライク

 まずは本作の概要を紹介しておこう。

 ビンの中にブロックを落としていき、同じブロック同士で合体させてスコアを稼いでいく、いわゆる『スイカゲーム』ライク(スイカライク)のマージパズル。通常のスイカライクと異なるのは、合体によるブロックの進化ラインが3つあることと、それぞれのブロックには鮮度が設定されていることだろう。

 進化のラインは素材系、植物系、鉱石系(と勝手に呼んでいる)の3種類。それぞれ進化させまくって、ブロックの純度をあげていくというのが基本的な動きだ。

 また、鮮度はそれぞれ数字で表示。これが0になるとゴミブロックとなって進化しない邪魔な存在になる。隣でブロックを合体させると消えるので、『ぷよぷよ』の“おじゃまぷよ”みたいなものと思えばいいだろう。

ビンの底にたまっているホコリみたいなものがゴミブロック

 シンプルながら、この3種の進化ラインと鮮度システムが独特な魅力になっている。それぞれどこに配置するのか、鮮度は問題ないか、ゴミをどう処理するか。多少複雑になったかもしれないが、その分パズル要素の奥深さも増している。

 また、特殊ブロックやイベントといったランダム要素も注目ポイントだろう。

 特殊ブロックはブロックを進化させてくれるもの、鮮度を回復させるものなど4種類ある。

 イベントはブロックを入れたり進化させたりするとたまるゲージがMAXになると発生。魔法使いのフゥル、エイル、ティルの3人のうち誰かが特殊ないたずらをしにやってくる。

赤い丸で囲んだビンがイベントゲージ。オレンジで満たされるとイベントが発生する。

 このランダム要素を上手く活用した立ち回りもスコアを稼ぐうえで非常に重要。ときにはアドリブ力も試される。

当たり外れのイベントに必死

 ハマったと確信したのは5~6回目ぐらいのプレイのころ。パズルゲームが下手すぎてめちゃくちゃピンチだった。

 鮮度の管理、配置をミスって見るも無残なゴミ屋敷になってしまったのだ。一度ゴミが溜まると、徐々に消していくしかないためかなり面倒。ブロックの種類もバラバラに配置され進化させづらい。隙間にブロックを入れるだけの時間稼ぎもむなしく、ゲームオーバー寸前だった。もう諦めていた……のだが、

 イベント発生。かっとび魔法使い・エイルがカットインし、瞬く間にゴミを消し去った。

 「助かったー」という安心感よりもドバドバ出る脳汁を実感。ソシャゲのガチャで大当たりを引いたときぐらいテンションが爆上がりしていた。

 もちろん戦略も大事。同じグループでまとめたり、低いグレードのブロックはできるだけ上に配置したりと、ハイスコアを目指すうえでは考えることも重要。重要なのだが……

エイルがゴミを消して……
ビンがまっさらに

 やっぱりランダムイベントで危機を乗り越えたときが一番気持ちいい。もはや途中からスコアよりもイベントゲージしか目に入っていない。ピンチになるたび「エイル来い、エイル来い!」と血眼になってゲージを見つめていた。

 どんなピンチもエイルが来てくれればOK。ゴミ処理屋みたいな扱いだが、そこは気にしないように……。

 ちなみに、ほかの魔法使いイベントは外れかというと、はっきり言って状況によるとしか言えない。

 例えば、天才いたずら魔法使い・フゥルは、ブロックの鮮度を回復させてくれる。一見「なんだ普通に当たりじゃん」と思うかもしれないが、本作には「あえてゴミにする」という戦略もあるのだ。

 スイカライクにおいて、頭を悩ませるのが集団からはぐれてしまった低いグレードのブロックの処理。それらを育てずに見捨てる場合は、一度ゴミにしてしまって後々消すという選択肢もアリになってくる。消せないブロックとして居座られるぐらいなら、消せるゴミになってくれた方がありがたいのだ。

 こういった手段を取りたいのにフゥルが来てしまうと、ゴミになるまでの時間が稼がれてしまう。要するに来てほしくないタイミングもあるということ。わがままでごめんね。

後ろの窓から見える娘がフゥル。通りすがりに鮮度を回復させる。

 そして魔法使い・ティルはビンの中をシャッフルしてくれる。集団を作るのに失敗して配置がごちゃごちゃしているときにはありがたいが、逆にきれいに配置できているときに来ると厄介。「よし、これを進化させれば連鎖で一番高いグレードに進化するぞ!」と意気込んでいたのに、ティルが来たせいですべておしゃかになったこともあった。来てほしいときと来てほしくないときの差が激しい印象だ……。

ティルが来たらシャッフルの合図。配置がよくなるよう祈るしかない。

 ランダムイベントはぶっちゃけ運次第。気がつけば外れイベントなら「今じゃねえーー!」と本気切れ、当たりイベントなら「マジ神! 最高!」と大喜びする身体になっていた。もうこれギャンブルじゃん。規制しなよ……。

 そんなこんなで慣れてきて、真ん中に鉱石系、左右にほかブロックをグループごとに固める“真ん中石理論”といった自分なりの戦略も完成した。デカい鉱石系ブロックを壁にして、左右でそれぞれ進化してもらうといった内容だ。配置もうまくなったのか、Steamリーダーボードで12位にランクインできた。

 頭を使いつつ運にも頼る、まさに悪魔的……(かどうかは議論の余地があるが)。ひと味違うスイカライクの落ちものマージパズル『ネールのはちゃめちゃクラフト!』。気になった方はぜひSteamにてチェックしてみてほしい。

  • 商品名  ネールのはちゃめちゃクラフト!
  • 開発   Incase,dreamer
  • 販売   今川ソフト
  • 配信日  2024年8月7日
  • 定価   500円(Steam)
  • 日本語  〇
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