INDIE GAMES JOURNAL(インディーゲームジャーナル)

童話の世界でその日暮らし? 独特な絵柄と世界観が心に優しいスローライフシミュレーション『The Garden Path』で荒んだ気持ちが癒されているレビュー

by 大塚 角満

素朴の極みの良ゲー!

 童話の世界を切り取ってきて命を吹き込んだら、どんなゲームになるんだろう……?

 そんな、少年色の疑問に対する答えのひとつが、もしかしたらここで紹介する『The Garden Path』(ザ・ガーデンパス)なのかもしれない。

 2024年7月30日にSteamで、そして8月1日にはNintendo Switch版もリリースされた“何をしてもいい、何もしなくてもいい”というこのゲームは、これからきっと世界中の人々の疲れた心を癒してくれるに違いない。

 俺はもともと、この手のスローライフシミュレーションゲームには目がなかったので、Steamのストアで見かけた瞬間にウィッシュリストに登録して、発売日が来るのを心待ちにしていた。というのも、ストアページのゲーム説明にある以下のテキスト、

 「人生の素朴な喜びに満ちた、短時間で少しずつ遊べる庭づくりシミュレーション。草花を育てたり、釣りをしたり、取引したり、新しい野菜の友だちを作ったり。この優しい世界を訪れた時はいつでも、ちょっぴり切ない最高の冒険があなたを待っています」

 これを読んで……じつはちょっと、涙が出そうになったのだ。

 「人生の、素朴な喜びに満ちているんだ……(涙)」

 「短時間で少しずつ庭造りを楽しめるんだね……(嗚咽)」

 「この優しい世界には、ちょっぴり切ない最高の冒険が待っている……!!(号泣)」

 年齢を刻み、日々の生活に懸命な人ほど、これらの温かいテキストが刺さるはずだ。当然俺も、針供養で使われる豆腐のよろしく、グッサグサに心地のいい単語が刺さりまくったし。

 「いまの俺に必要なのは、こんなゲームなんだ……><」

 配信と同時に、震える指で購入ボタンを押した俺の目からは、一筋の涙がこぼれていたという。……って、どんだけ疲れ切ってんだって感じですがね。

 まあ若干大袈裟に書いてしまったけど、こういったスローライフを謳うゲームを欲していたのは紛れもない事実なので、俺はすぐさま愛用のSteamDeckで『The Garden Path』を起動してみたのだ。

 ……いま思えば、スクショの撮影と管理が簡単なNintendo Switch版でもよかったなぁ……と思うのだが、Switch版の存在を知ったのはSteamで購入した後だったので、いまさらどうにもならないんだけど^^;

 さて、まずはチュートリアルからやってみよう。なになに……。

 この、日本昔話を髣髴とさせる素朴で優しい絵柄に、めちゃくちゃ惹かれるんだよね……。ド派手なグラフィックもいいけれど、こういった世界そのものから体温が伝わってきそうな設計にたまらない魅力を感じるよ。

 『The Garden Path』は何度も言うように“勝手気ままにスローライフを楽しむゲーム”なので、誰かに何かを強要される……という強引な導きはまずない。

 木や植物が生えていたら集めて素材にしたり、

 川があれば釣竿を出して魚釣りを楽しんだり。

 ……このスクショ、Steamのストアページにあるものを使わせてもらっているんだけど、実際の俺のプレイ状況だと釣りはまだ遊べていません^^; 『The Garden Path』の世界には現実世界とシンクロした時間が流れていて、齷齪とコトを進めるタイプのゲームデザインでもないし、一足飛びで要素をアンロックしてゲーム内の事象をしゃぶりつくす必要もないから、慌ててもいないんだけど。

 釣竿がないなら、持てるようになるまでのんびりと生活すればいい。

 剪定ばさみが見つからなくて植物採取が不便でも……ま、そのうちなんとかなるだろうwww

 その程度の心持で世界観と向き合いながら、ガーデニングをに精を出したり、調度品を集めて家を充実させたり、フラリと現れる奇妙な旅人たちと交流をはかったりもする。

 自由過ぎるゲームは、ともすると目標を見失いがちで、

 「お、俺はいったい、これから何をどうすれば……」

 と途方に暮れることも多いけど、『The Garden Path』の場合は事細かに、

 いわゆる実績集めの楽しみが用意されているので、ちょいちょい夜空を見上げて(実績が星座になっているのだ)つぎの行動の道しるべにするといい。

 ……と、しかつめらしく書いてしまったけど、俺もまだプレイ開始から1日足らずしか経っていないんだよね^^; なので、奇妙なキャラクターとの出会いも、

 まだまだこれから! 彼らと触れ合うことで、俺のガーデンにどんな影響が及ぶのか、いまから訪問が楽しみでならないのである。

 『The Garden Path』は謳い文句のひとつに、“短時間で少しずつ遊べる庭づくりシミュレーション”を掲げているけど、ついつい、

 「今日は、ちょっと遠くのほうまで歩いてみようかな^^」

 なんてモードになって、気が付けば数時間遊んでいました……なんてことがよくある。

 この、命のように温かい世界観の中に、ずっと身を置いておきたくなるのだ。ゲーム内の分身だけじゃなく……自分自身も。

 やっぱり俺、疲れてんのかなぁ……。
 
 でも、疲れているほど『The Garden Path』を楽しく遊べる……ってのは紛れもない事実だと思うので、やっぱりいまの俺はこのゲームを求めているのだろう。ちょっと仕事の手を休めて、“自分の庭”を見にいこうかな。

 というわけで、こういったホンワカした雰囲気の、齷齪しないゲームをお求めの方には全面的にオススメ! 俺も、ゆっくりと進めていこうと思います!

  • 商品名  The Garden Path
  • 開発   carrotcake
  • 販売   Mooncat Games
  • 配信日  2024年7月30日
  • 定価   2,300円(Steam,switch)
  • 日本語  〇

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