【レビュー】荒廃した終末世界に緑を取り戻す“逆”都市建設シム『Terra Nil』。心地よすぎる環境音と戦略SLG要素が合体した癒し系SLGが最高すぎた

　突然だけど、みんなは都市建設シムは好きかい？私はそれなりに手広くゲームを遊ぶけど、都市建設シムは特に大好物なんだ。

　私は昔からミニチュアとかジオラマといったものが好きで、博物館にあるジオラマとか都市模型なんかを眺めるのが好きだった。

　だから、俯瞰で街を眺めてジオラマをいじるように街を発展させられる都市建設シムとの出会いは衝撃的で、子供の頃にシムシティと出会ったときのトキメキは今でもハッキリと覚えている。

　っと、まぁ私はこのジャンルが大好きなんだけど、今回紹介するのはほっとんど都市建設シムと関係なくて、今回は都市建設シムを探している最中に見つけた『Terra Nil』というゲームを紹介しようと思う。

自然を取り戻す癒し系シム『Terra Nil』

　『Terra Nil』に出会ったのがいつなのかはもう覚えていないんだけど、たぶん2~3年前に発売日TBAの状態でSteamにストアページが公開されていたのをストラテジージャンルの探索で見つけたはず。

　当時のストアページにはトレイラーとゲームの説明があるだけで、体験版とかはなかったんだけどトレイラーを見るだけでもう面白さを確信して即ウィッシュリストに入れたのを覚えてる。

　『Terra Nil』がどんなゲームかはトレイラーを見てもらえばすぐにわかると思うけど、簡単に説明すると環境が破壊された星を、高度な技術で自然豊かな星に生まれ変わらせるいわば“逆”都市建設シム。

　都市建設シムといえば何もない土地にインフラを整備して都市を発展させ、コンクリートジャングルを生やすというイメージだが本作はその逆のことをしていく。

　エリアによって多少の違いはあるものの、基本的には草も生えないほど汚染された大地に設備を持ち込んで、土壌を改善したり水を撒いて緑化。

　緑が広がったら動物が住みやすい多様な自然環境を再現するフェーズに移行して、

　すべてが終わったらこれまでに使った設備を改修し、自然だけを残してエリアを去るというのがゲームの流れだ。

　トレイラーからもわかる通りゆったりとゲームが進む『Terra Nil』だが、各フェーズで使用する設備は緑化などで回収できるポイントを消費して設置するシステムになっているため、難易度によってはしっかりとリソース管理が必要なゲーム性もある。

　周回プレイ用の難易度なんかは結構シビアなリソース管理が要求されるので、戦略性のあるシミュレーションゲームが好きなゲーマーにもオススメな作品だ。

　ゲームシステムを軽く紹介したところで、私が実際にプレイしてみて感じた魅力を紹介しよう。

　まず、『Terra Nil』を初めて知ったときから期待していて、実際一番の魅力だったのは静かでゆったりとした時間が流れるゲーム全体の雰囲気。

　荒廃した世界を再生するこのゲームにはガヤガヤとした都会の喧騒なんかは一切なく、再生の旅の最中は環境音と環境音楽、効果音だけが流れている。

　再生する地域によって環境音が異なり、風や川の音、雨の音、動物の鳴き声と段階的に聞こえてくる音が増えていくのも、自然を取り戻している感があって心地がいい。

　次に魅力的だったのはゲームの紹介でも少し触れた戦略性のあるゲーム性。意外だったというと失礼だが、実際に遊んでみたら難易度によっては結構やりごたえのあるゲームで驚いた。

　再生する環境はなかなかに多彩で、設備も豊富。ただ自然を取り戻すだけなら「土壌の改善→緑化→環境の多様化」と段階を踏むだけでなんてことはない作業だが、

　動物には複数の過ごしやすい環境があり、例えばシンリンオオカミなら付近に森と草原、川と湿地、餌となるシカが必要で、動物の過ごしやすい環境を考え始めるとゲーム性が一段上がる。

　ゲームの達成度を高めようとすると、さまざまな動物に対応できるようにバランスよく環境の多様化を進める計画性も重要で、高難易度ではこれにリソースの管理が加わるのでやりこみプレイも楽しめるのはポイント。

　プレイ感以外の部分ではゲームの発展性にも注目で、2024年6月に配信された『Terra Nil』初となる大型アップデート「Vita Nova」では、新たなバイオームや建物、ミッションが追加

　アップデートで実装された新UIではステージ選択画面にも余白が作られていたため、今後のアップデートにも期待だ。

　癒しの環境音楽を聴きながら荒廃した世界を再生する“逆”都市建設シム『Terra Nil』はSteam、Epic Games Store、GOG.com、Nintendo Switchにて販売中。Netflix会員向けにはiOS/Android版が無料配信中。

　癒しとやりこみにあふれたシミュレーションゲームが気になった方は、ぜひ遊んでみてほしい。

by 富士脇水面

2024.10.3 14:07 | 公開2024.10.6 19:27 | 更新