INDIE GAMES JOURNAL(インディーゲームジャーナル)

デジタルの良さを活かしまくった“デジタル版ボードゲーム”の完成形! 名作『クランク!』がこんなに遊びやすいとは!

by 大塚 角満

よくできてる!

 この年末年始は日の並びが良く、場合によっては“奇跡の9連休”が実現するとかで、ひさしぶりの長期休暇を楽しんでいる人も少なくないと思う。

 かくいう筆者はふだんとあまり変わらず、大晦日だろうが元日だろうが連載記事を書いたりしていたんだけど、それでも、

 「多少はのんびりしたふうを装いたいな……!」

 とナゾの見栄を張って、いつもよりもちょっと長めにゲームに時間を割いておりました。

 ……いや、この言いかたは若干語弊があるかもしれない。

 ついつい時間を使ってしまうゲームに出会ってしまって、そうせざるを得なかった!

 が正しいような気がする。いや、確実にそうだ。

 そのゲームとは、ボードゲームが好きな人には釈迦に説法な名作、『Clank!(クランク!)』のデジタル版だ!

 Steamで発売されたのは2024年10月22日と最近なんだけど、ボドゲ好きの間では以前から遊ばれてきた。じつは筆者も20年以上前からこのジャンルのマニアで、アナログ版の『クランク!』は何度かプレイしたことがある。ただ、アナログゲームは目の前に数人の仲間がいないと楽しめないことがほとんどなので、そのときも、

 「ひとりで『クランク!』が遊べたら、どれほど楽しいことか……! 誰かSteamとかに移植してくれないかなぁ……!!」

 と切に願っていたんだよねぇ……! よって、Steam版の発売を知って飛びつくことに、なんら躊躇はなかったのである。

 『クランク!』は、盗賊のひとりとなって迷路と化しているドラゴンの巣に侵入し、奥深くからアーティファクト(宝物ですな)を盗んで持ち帰る……というのが大まかな内容だ。

 ルール……というかゲーム内でやることはじつにシンプルで、配られるカード(デッキ構築の楽しみもある)に記載されている“ブーツ”の数だけ移動できるし、“剣”が描かれているものがあれば攻撃ができる。攻撃……と言っても、ダンジョンのヌシであるドラゴンは無敵なので放置で、お金(勝利点にもなる)稼ぎのためにゴブリンなどのザコを狩る程度だ。『クランク!』のキモは、ターンごとに手持ちとにらめっこしながら新たなカードを購入しつつ、いかにダンジョン深くまで潜っていいアーティファクトを持ち帰るか……にあるのである。

 もちろん、ヌシのドラゴンが侵入者を放っておくわけがなく、ゲーム名にもなっている“クランク”(物音、の意)が発生するたびに怒りが蓄積し、頻繁にブレスを吐いてくるのだ。

 ダメージが10になると、ゲームからは退場……。

 クランクはほんのちょっとした行動で発生してしまうので、欲張って深く潜りすぎると帰還が困難になって、ブレスの餌食になる確率が上がっていく……!!

 浅い階にあるアーティファクトで我慢をするのか、それとも最深部まで潜って特典の高いレアなブツを狙うのか……!

 そのせめぎあいが、じつにじつに楽しい。しかも、当たり前だけどカードのやり取りやクランクが溜まったときに起こる行動などはすべてデジタルで処理されるので、アナログゲームにありがちなマニュアルと首っ引きになる必要もない!!

 これが、いい!!!

 かな~~~り優秀なAIとひたすらバトルをするだけでも十分楽しいし、その気になればオンラインでの対戦も可能!!

 ……というゲームを始めてしまったため、必要以上にレジャーに時間を割いてしまっているお正月なのでした^^;

  • 商品名  Clank!
  • 開発   Dire Wolf
  • 販売   Dire Wolf
  • 配信日  2024年10月22日
  • 定価   ¥3,249

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