INDIE GAMES JOURNAL(インディーゲームジャーナル)

『Office Fight』ブラック企業で破壊の限りを尽くすパズルシミュ。物を一掃する爽快感を味わいつつ喧嘩する従業員をニヤニヤしながら傍観する

by 友野 辰貴

 いきなりで悪いが、みんなは“破壊衝動”あるだろうか? まって、ヤバい奴じゃないからブラウザバックしないで。

 ストレス社会ともよばれる現代。「何か物を破壊してストレスを解消したい!」と衝動的に思う人も多いはず。何なら社会への不満もそこにぶつけたいぐらいだろう。

 2024年8月21日にSteamにてリリースされた『Office Fight』(オフィスファイト)は、まさにそんな人にピッタリの一作だ。本稿ではそんな本作のプレイレビューをお届けしよう。

ホラー映画の怪異気分で暴れまくり

 起業のときから身を粉にして働いてきた“あなた”が、過労死の恨みを晴らすため幽霊となって会社に復讐するカジュアルなパズルシミュレーション系のゲーム。カスタマー部や営業部、経理部などさまざまな部をまわってはオフィスに嫌がらせして部長(ボス)を倒していく。

 嫌がらせといってもやることは、オブジェクトを投げてオフィスをボコボコに壊すだけ。社員にオブジェクトをぶつければ暴れてくれる。ゲームシステムは非常にシンプルだ。

 そのあとはどんどんと地獄の様相を呈していくさまを高みで見物するだけ。壊れていく備品や設備、殴り合う社員たち、連鎖していく喧嘩を見ながらニヤニヤ……。気分はまさにホラー映画に登場する化け物のようだ。

 会社に被害? ほかの社員は関係ない? そんなの知ったことか。恨みを晴らすように、不満をぶつけるようにバンバンオブジェクトを投げまくる。1ステージ3分もかからないので、一気に何十ステージも遊んでしまえる。そんなにストレスがたまっていたのだろうか? 気が付けば会社は半壊していた……。

 パズル的な要素としては、連鎖反応が楽しい。社員同士を暴れさせたり、お金で社員を誘導したり、風でオブジェクトをカーブさせたりなどさまざまなギミックを使いこなせれば、破壊が連鎖的につながっていく。

ごらんのオフィスも……
ちょっとものを投げただけでご覧の通り。かなりスッキリした。

 1ステージ3回しかオブジェクトは投げられないが、ギミックを使いこなせれば1発だけでほぼオフィスが壊滅する。ギミックは1度しか発動しないものもあるので、むしろ最初の1発が肝心といえるだろう。

 たったひとつ物を投げただけで連鎖的に破壊されていく様子は、最高に気持ちいい。逆に連鎖がうまくいかないと、「全然気持ちよくない。もう1回!」とやり直ししたくなる。もうかなり沼だ。

ここの社員は全員達人

 社員同士によるエスカレートしていく喧嘩が一番好きなポイントだ。

 というのも、喧嘩のスタイルというか売り方がプロい。足払い、膝蹴り、裏拳などなど。ヤンキー漫画や格闘漫画で見るような技で周囲をボコボコにする。

 プレイ中に手に入るコインを使えば、社員たちの技の種類も解放されてバリエーション豊かになる。ブルース・リーのようなワンインチパンチから、プロレスのようなドロップキック、アメコミで見た感じのビーム、かめはめ波っぽい何かなど、いろんな技を使って喧嘩する。

 一度始まったら止められないのか、スタミナがなくなるまで暴れまくる。気が付けばもう誰もいない……なんてこともよくあるが、まさかその惨事の原因が幽霊の投げたオブジェクトとは夢にも思うまい。

 小さな喧嘩が周囲を巻き込む大惨事に発展していく様子は見もの。喧嘩が始まったときは何もせずずっと見ていたくなるほどだ。

 ちなみに生き残っても、最終的にこっちからとどめを刺すので、特に勝者はいない。この瞬間が本当に堪らない。「よく働いてくれた。もう用済みだ。」と悪役ムーブできる。というかこのためにニヤニヤしながら見ているまである。

パズルだけじゃない。アクションパートも!

 部長と対決するいわゆるボス戦。「パズルゲームでボス戦ってどういうこと?」と思うかもしれないが、まずはこちらを見てほしい。

画面中央の青い幽霊がプレイヤー。まさかの直接攻撃!

 実は本作におけるボス戦は、見下ろし型のアクションなのだ。

 WASDで移動しタックルで攻撃。各ボスステージにはギミックもあり、敵の攻撃をよけつつ、ギミックをうまく使ってダメージを蓄積させていく。

 タックルの操作感は、丸いモンスターを引っ張って敵にストライクする感じの某人気ゲームアプリっぽい感じ。狙いたい方と逆の方向に引っ張って威力をチャージし、十分にたまったらクリックを離して突撃する。

タックルの方向は矢印で表示されるのでわかりやすい。矢印が黄色になったらチャージ完了だ。

 最初は「なぜアクションパート?」と思っていたが、やってみるとこれが結構楽しい。パズルで悩んだ分「よくも手こずらせてくれたな!」と恨みをぶつけられるし、頻度もほどよい感じ。パズルパートでたまったモヤモヤをリフレッシュしてくれるので、かなりいい気分転換になってくれた。

 なによりブラック企業のやばい上司を倒せる。オフィスを無茶苦茶にして、上司をボコボコにする。気分は晴れやかだ。

 ほかにも連絡手段が“Slack”っぽいなにかだったり、働きすぎて社員がゾンビ化していたりなど小ネタも多く、ここでは拾いきれないほど。ステージを進めていくと、ブラック企業が抱える不穏な謎に迫るストーリーが進展していくなど、ほか要素も注目ポイントとなっている。

 ストレス発散したい企業戦士におすすめなので、無料のデモ版(体験版)だけでもぜひチェックしてみてほしい。『Office Fight』はSteamにて好評配信中。

  • 商品名  Office Fight
  • 開発   Fenix Studios Pty Ltd
  • 販売   Fenix Studios Pty Ltd
  • 配信日  2024年8月21日
  • 定価   1200円(Steam)
  • 日本語  〇

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