【レビュー】クレーンゲームのプライズがそのまま武器や防具に! ローグライクデッキ構築『ダンジョンクロウラー』は無限に遊べる予感がする
アミューズメント施設、ゲームセンターなどでおなじみのクレーンゲーム。中身のプライズが欲しくてアームの行方に一喜一憂するギャンブル的楽しさに、ついついハマってしまったのはいい思い出だ……失ったお金を考えなければね。
2024年11月22日にリリースされた『ダンジョンクロウラー幸運ウサギと魔法の爪』は、そんなクレーンゲームを軸にした作品らしい。しかも、ジャンルがローグライクデッキ構築とのことだが、組み合わせが個性的すぎてどんなシナジーが生まれているのか気になる……。
本稿では、その謎をスッキリ解決すべく『ダンジョンクロウラー幸運ウサギと魔法の爪』のプレビューをお届けだ。
掴むのはアイテムじゃない、勝利だ!
さて、これが本作における基本的なバトルの画面だ。
左のウサギがプレイヤーキャラクターで、右が敵キャラクター。そして後ろに見えるのがクレーンゲームの部分で、これがバトルの行方を左右するのだ。
バトルでやることは自身のターンにクレーンゲームのアームを操作するだけ。左右に移動させて狙った場所にアームを下ろす。1ターン中に使えるアームは基本ふたつまで。中の武器や防具などのアイテムが獲得できれば、そのアイテムを使ってそのまま攻撃したり、防御値を得たりとオートで戦ってくれる。
非常にシンプルで、超カンタン……だとプレイするまで思っていた。
というのも本作、当たり前ではあるがアームがアイテムをつかめなかったらそもそも終わりなのだ。
「アイテムいっぱいあるのに取れないわけないだろ」と思ったそこのあなた。甘い、甘すぎる。掴みやすいものだけとは限らない。中には大きくて掴みづらいアイテムが出てくることもある。
その絶妙な大きさでいい感じに邪魔するので、なかなか難度をあげてくる。1ターン2本しかないのに何も取れないというのはかなり手痛い。中身すっからかんのアームが上がってくる瞬間、財布の中身を空にしても結局何も取れなかったあのトラウマも呼び起こされた。そんなところまで再現しなくていいよ……。
また、掴んでいたアイテムが運んでいる途中に離れてしまうといった、あるあるみたいなことも。トラウマが何度も心を痛めつけてくる。
しかし、だからこそ大量につかみ取りできたときには脳汁ドッバドバ。その瞬間はバトルの行方などどうでもいいぐらいに気持ちいい。ギャンブルなんか目ではない最高の娯楽はここにあった。
意外と先読みが重要
実はアームでつかみ取りばかりしておけばいいというほど、本作は単純ではない。敵の行動を見て自分から合わせにいく先読み能力が重要となる。
例えば以下の画像を見てほしい。敵の上には剣のアイコンがあるのだが、これは要するに相手ターンで攻撃をしてくるということだ。
これを見て次どうするかは人それぞれだろうが、筆者は防御を固めるタイプ。防御能力を上げてくれる“盾”をアームで狙う必要が出てくる。
最初の方はあまり気にする必要がないかもしれないが、敵が強ければ強いほど先読みがかなり重要で、ダンジョンの後半には戦略的な立ち回りがもはや必須事項に。特にボスキャラクターとの戦闘では奥深い駆け引きのようなものも生まれてくる。意外にも戦略性の高いゲームなのだ。
臨機応変にデッキを組もう!
戦闘が終わる毎にランダムでクレーンゲームマシンの中に入れられるアイテムやアビリティ(能力アップ)がもらえる。ランダムで手に入る強化&アイテムとそれらを組み合わせた運用。これがローグライク×デッキ構築と本作が呼ばれている理由だ。
アイテムは、敵にダメージを与えるもの&敵の攻撃を相殺する防御(アーマー)値を得るものを基本にした多彩な種類が用意。それぞれ木製、金属製、ガラス製、プラスチック製と素材も設定されていて、これらは特定の素材とシナジーのあるアイテムや強化と組み合わせることで、より実力を発揮する。
分かりやすいのが金属製のアイテムと“磁石”の組み合わせ。磁石は金属製のアイテムを引き付ける。1か所に集まってくれればアームで掴みやすくなるので、より戦いやすくなる、というわけだ。
しかもアビリティの中には磁石の効果範囲を広げるものも。アイテムとアビリティの相乗効果でより強いビルドを構築する。これぞデッキ構築ゲームならではの魅力だろう。
個人的に面白かったのは“ミニマリスト”ビルドで、クレーンゲームマシン内のアイテムをすべて取ると攻撃力が強化されるというもの。マシンに入れるアイテムを最低限にしなくてはならないうえに、スカスカで取りこぼしやすく、妨害にも弱いなど、難度は高いがリターンも大きいロマンビルドだ。
また、戦闘などで手に入るお金を使えばアイテムを強化したり、処分したりできる。錬金術師にお願いすればアイテムの素材も変更可。元々は木製だったアイテムを磁石で引っ張る、なんてこともできる。
ちなみに最初は取りこぼしも少ない金属製×磁石ビルドがおすすめ。ただし、欲をかいて金属のアイテムと磁石をマシンに入れまくると、出口が詰まってとんでもないことになるので要注意だ。
手に入るアイテムやアビリティは完全ランダムなので常に狙ったビルドが組めるわけではない、がその分ビルドの幅も広め。プレイの度にいろんな戦法を試せるのもローグライク感があって好きだ。というか、ゲーセンと違って買い切りでずっと遊べるので、ぶっちゃけ中毒になっているような……。
“クレーンゲーム”、“ローグライク”、“デッキ構築”の3要素が詰まった一作。どれかひとつの要素でも気になる人は、ぜひ一度プレイしてみてほしい。
- 商品名 ダンジョンクロウラー幸運ウサギと魔法の爪
- 開発 Stray Fawn Studio
- 販売 Stray Fawn Publishing, Playworks
- 配信日 2024年11月22日
- 定価 1,100円(Steam)
- 日本語 〇